特別上映『がんばっぺ フラガール!~フクシマに生きる。彼女たちのいま~』 ©2011「がんばっぺ フラガール!」製作委員会 |
六本木ヒルズを中心に、東京の秋を様々な映画で彩ってきた「東京国際映画祭」。この10月で24回目を迎えるアジア最大の映画祭概要が、このほど発表された。
もともと、スターたちが歩くカーペットを「レッド」ではなく「グリーン」とすることに始まり、作品上映をグリーン電力で行ったり地球と人間の共生をテーマとした部門を設立するなど、環境への配慮をアピールしてきた映画祭だが、今年は3月の大震災を受け、課題先進国の日本が地球のために何ができるのか、また「映画祭だからできる」「映画を通じてできる」ことは何なのか、改めて考える映画祭を目指しているという。
自然との共生をテーマとした10本を上映する『natural TIFF』部門に加え、今年は特別上映として、『震災を越えて』部門を特設。ワールド・プレミアとなる『がんばっぺ フラガール! ~フクシマに生きる。彼女たちのいま~』(小林正樹監督)など、被災地のリアルな声を届ける3作品を上映する。 このほか、例年TIFFで行っているグリーン募金の延長として、今年は被災地での上映活動「シネマエール東北」への募金も同時に行い、協力者にはグリーンのリストバンドが配布される予定だ。
『アルバート・ノッブス』右・グレン・クローズ ©Morrison Films / Chrysalis Films 2011 |
映画祭の華、コンペティション部門も今年は豊作。
前年比17%増の975本のエントリーがあり、このうち選出された15本が「東京サクラ・グランプリ」を競う。60歳の木こり(役所広司)と新人ゾンビ映画監督(小栗旬)が出会い、心を通わせるコメディ『キツツキと雨』(沖田修一監督)をはじめ、問題児揃いの学校で教鞭をとる教師(エイドリアン・ブロディ)を描いた『デタッチメント』(トニー・ケイ監督)、香港ホラーの雄、オキサイド・パン監督の3Dホラー『夢遊 スリープウォーカー』などジャンルも国も多彩な作品が集うが、個人的にはジェイムズ・ジョイスに影響を与えた作家ジョージ・ムーアの短編小説をロドリゴ・マルケス(『彼女を見ればわかること』)が映画化した『アルバート・ノッブス』をまず、観たいところ。女性の社会進出がままならなかった19世紀のアイルランドで、男性と偽り、ホテルで執事として働く女性の、はかない恋物語である。予告を見た限りでは、主人公役グレン・クローズはさすがに声は女性のそれだが、オールバックの髪形でパリッとスーツを着こなした姿は、初老の執事そのもの。コロンビア人のマルケスがアイルランドの有名とは言い難いこの物語のどこに惹かれ、どのように映像化しているか、興味深い。
他にも恒例の「アジアの風」部門、「日本映画・ある視点」部門、「WORLD CINEMA」部門、特別招待部門など魅力的なプログラムが映画祭にはひしめいている。上映スケジュール表とにらめっこしながら鑑賞予定を立てるのが楽しみな9日間である。
「第24回東京国際映画祭」10月22日(土)~30日(日)六本木ヒルズ(港区)ほか
問い合わせ ハローダイヤル(9月21日~10月30日)日本語:03-5777-8600、050-5541-8600(全日8時~22時) 英語:03-5405-8686(全日9時~18時)
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