2015年1月3日土曜日

Today's Report [travel] 御茶ノ水の高級ホテルが提供する“ワンコイン朝食”

先日、昨年七月末に取材したホテルを再訪する機会があった。この『龍名館お茶の水本店』は明治32年(1899年)、『龍名館本店』として創業。御茶ノ水駅徒歩3分という至便性と趣ある和風のつくりで、日本画家の伊東深水ら、文化人たちにも愛されてきたホテルだという。それが和風モダンの高級ホテルとしてリニューアルし、一階には全てのメニューにお茶を使った“お茶尽くし”レストラン「Green Tea Restaurant 1899 Ochanomizu,」を併設。オープン直前のお披露目の様子は、日経トレンディネットでレポートした。

その取材の折、レストランでは店の自慢料理の中から数種を少しずつ試食することができ、それらも印象的ではあったのだけれど、配布資料に掲載されていた朝食の内容に驚かされた。食材にもプレゼンテーションにもこだわったお茶漬けが500円、ワンコインだというのだ。ファストフード・チェーンならばまだしも、都心の高級ホテルで朝食が500円というのはちょっと聞いたことが無い。スタッフに話を訊くと、ホテルとしては地域や日本茶文化への貢献も意識しており、オフィス街でもある御茶ノ水の人々、特に若いサラリーマンたちに気軽に試し、お茶に親しんでほしいのだという。 
 
そうは言ってもこの価格で、店はずっと朝食サービスを続けていくのだろうか。4か月後の11月末、プライベートで朝食サービスの終わる11時前に店を訪ねると、ワンコインお茶漬けは依然、健在だった。(1513日時点、レストランのHPでも価格、内容は同じ。) 

メインの具は8種類の中から選ぶシステムで、筆者は紀州南高梅、家族は鮭をチョイス。間もなく運ばれてきたお盆の上には、茶飯を入れた深めの茶碗、ほうじ茶とお出しをブレンドした出汁の急須、あられやわさびなどのトッピングを乗せた細い皿とメインの具の小皿。ふくよかな実をざっくり崩した梅干し、出汁とも主張しすぎない柔らかな風味が好ましく、よく吟味されていることが分かる。茶飯の量も多すぎず少なすぎずで、色味の鮮やかなトッピングも楽しい。家族の頼んだ鮭のほうは予想よりもしっかりとした量が盛られていて、より「おかず」的に食べられる。ヘルシー志向の外国人旅行者にも勧めたい「ジャパニーズ・ブレックファースト」だ。 
朝食メニューとしてこの店が出しているもう一品の「アサイーボウル」(850円)もオーダーしてみた。ねっとりとした食感のアサイーは自然な甘味が生きているが、フローズン・ヨーグルト並みに冷たく、なかなか一度には口に運べないのもあってかなりボリューミーに感じる。夏季ならばぺろりとたいらげられそうだが、それ以外の季節は何人かでデザート的にシェアするのがいいかもしれない。 

この日は週末ということもあってか、朝食タイムの店内はゆったり。だが、ランチタイムに差し掛かると俄かに来店客が増え始めた。ほぼ全員が女性だ。彼女たちももう少し早く来店し、このお茶漬けを体験してみれば、朝食の習慣が変わるかもしれない。出来うる限り長い間、続けて欲しいメニューである。

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