2015年2月16日月曜日

Today's Report [travel] 子連れに(も)優しい、英国の美しい宿 Vol.4 ボウッド・ホテル


子連れに[]優しい、英国の美しい宿vol.4 Bowood Hotel  敷地内で「貴族の邸宅見学」「巨大公園での遊び」もできるスパホテル
ボウッド・ホテルの「The Talleyrand Suite」撮影:松島まり乃
カルコット・マナーは現地駐在員たちの間で「定宿」化するほど日本人にも知名度のある宿だが、コッツウォルズのもう一つの宿「ボウッド・ホテル」(http://www.bowood.org/bowood-hotel/)のほうは、まだまだ知られざる「穴場」。ランズダウン侯爵夫妻がその領地管理の一環として、ゴルフコースに隣接して09年に開業したスパ・ホテルだ。ゴルフコースの駐車場にはひっきりなしに車の出入りがあり、ゆとりのある英国人たちの間で人気の様子。ホテルのほうも現状はゴルフ客が多そうだが、チェックインして客室に入ると、コンテンポラリーなインテリアの部屋には幼児用のちっちゃなスリッパやガウン、絵本やアクティビティ・ブックなどが用意されていて、子供客も歓迎していることが伝わって来る。 

ボウッドのアドベンチャーランド。本格的な造りの海賊船で海賊ごっこが楽しめる。撮影・松島まり乃
このホテルに宿泊する最大の魅力は、同じ領地内で徒歩約20分の子供向け公園「アドベンチャーランド」と、その奥に位置する侯爵の邸宅&庭園。ホテルにチェックイン後、お散歩気分で「行楽」に行けてしまうのだ。アドベンチャーランドのスター遊具は、正式名称は不明だが“恐ろしく高い、滑り台付の櫓”だろう。細い丸太に縄で編まれたネットを張った櫓は3階建て住宅ほどの高さがあるが、子供たちはすいすい登り、嬉々として横伝いに移動してゆく。他にも大きな海賊船や船形のブランコなど、デザイン性の高い木製遊具が揃い、歓声を挙げながらめいっぱい体を動かしている子供たちの姿が微笑ましい。 


ボウッドの幼児向けのプレイエリアには、ミニトラクターや家畜たちとの触れ合いコーナーも。撮影:松島まり乃
手前にはもっと小さな子どもたちのための、ミニトラクターに乗ったり家畜たちと触れ合えるコーナーもある。またボールプールなどを設けたインドア式の遊び場もあり、天候にかかわらず遊ぶことができる。4歳の我が子も歩を進める度に現れる遊具に、大興奮しながら突進していた。

ランズダウン侯爵家が現在も居住する邸宅。手前の庭園はダイナミックな動物の彫像も特徴的。撮影:松島まり乃
アドベンチャーランドの奥にある邸宅には、実際に侯爵家族が住まい、その一部が公開されている。展示室には19世紀の詩人バイロンが写真撮影に用いた衣裳をはじめ、ナポレオンのデスマスクやイニシャル入りのハンカチ、先祖がトルコ帝国から寄贈されたダイヤの財宝など、さまざまな「お宝」が並んでいる。都会の博物館と異なり警備めいた堅苦しさはなく、個人的に侯爵に見せていただいているような空気が漂う。18世紀の庭園デザイナー、ケイパビリティ・ブラウンによる英国式庭園も人工の彫刻と花々、植え込みのバランスが絶妙で美しい。



(上)ブラッセリ―の子供用メニューはクイズ付。アドベンチャーランドの写真も盛り込まれていて、手作り感が楽しい。(下)カジュアル・メニューの定番、フィッシュ&チップス。揚げ加減が絶妙で、さくさくとした歯応え。 

さて、羊たちがのんびり草を食む牧場とゴルフコースを横断して再びホテルに戻り、別棟のブラッセリ―へ。ここはフォーマルではなくカジュアルな方のレストランだが、インテリアには個性的なものが選ばれ、クラス感は十分。案内された席には子供用に、塗り絵やクイズが印刷されたメニュー兼マットとクレヨンが用意されていた。子供メニューを見ると3コース(3品)で7.5ポンド。英国のいわゆる高級レストランでは「ありえない安さ」だ。娘がメインに選んだピザの皿にはサラダとフライドポテトも盛られ、ちょっとしたお子様ランチ風。親の方は英国の定番メニュー、フィッシュ&チップスを頼んでみると、巨大なサイズではあるがさっくりと揚がっていて、ぺろりとたいらげることができた。デザートのアイスクリームは3玉も盛られていて、さすがに体が冷えたため、客室に戻ってスペイシーなお風呂にゆっくり浸かり、ベッドへ。 

キッチンに自分で取りに行くスタイルの朝食。自分好みの「イングリッシュ・ブレックファースト」を作ることができる。
朝食はロビー奥のレストランで。温かい料理は奥のキッチンで作っていて、そこにビュッフェ形式で置かれているので「目玉焼きをもう一つ」「ベーコンは無し」と自分で調節できる。小ぶりのデニッシュ・ペストリー各種がそれぞれに美味しい。 

ゴルフコースを見晴らすスパ。撮影:松島まり乃
朝食後、まだ子ども入場可の時間帯だったので腹ごなしにスパのプールへ。ガラスの向こうはゴルフコースとなっていて、一面の緑に心が和む。4歳児は持ち込んだ浮き輪でぷかぷかと水遊び。我が家に続いて2組のファミリーがプールに現れ、室内にはしばし子どもたちの歓声が響いた。 

広々としたThe Talleyrand Suiteのバスルーム。撮影:松島まり乃
チェックアウトは11時。我が家はスパを選んだが、領地内のアドベンチャーランドでもう一度遊んだ後に宿を出るのも有りかもしれない。英国滞在の最終日に宿泊し、ここで存分に体力を消耗してからヒースロー空港(車で90分ほど)へ向かえば、子供は機内できっとぐっすり眠れることだろう。領地内にはクイーンウッド・ロッジというシェフ、バトラー(執事)付の貸切宿泊施設もあり、季節によってはホテルよりも割安のプランを出していることもある。(1月末現在、冬のキャンペーンとして一泊1120ポンドという破格プランが有る)。6~8名での貸切となるが、友人家族を誘ってひととき貴族気分を味わうのも良さそうだ。

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