2011年2月9日水曜日

Today's Report [Food] アルゼンチンワイン、じわりブームの予感

2011.27 第一回アルゼンチンワインサミット・イン・ジャパン記者会見(アルゼンチン大使館)

 昨年、日本における外国産ワインの総輸入量は前年度を下回ったが、その中でひそかに前年比18.8%の伸びを見せたのがアルゼンチンワイン。シェアこそフランス、イタリア、チリなどにはまだ遠く及ばない8位だが、2002年にはアルゼンチンワインを扱う輸入業者が20社だったのが昨年は60社と飛躍的に増え、業界内でも熱い注目を浴びている。
この動きの立役者であり、18年前の創立から輸出促進活動を積極的に行っているアルゼンチンワイン協会が、今年からさらに日本始めアジアにテコ入れを図るべく、このほど来日して輸入業者向けイベントと記者会見を行った。
会見では、赴任してまだ間もないというラウル・デジャン新アルゼンチン大使の力のこもった挨拶の後、協会幹部3名がこれまでの活動や今後の計画を発表。「まずは、業者、そして報道関係者の啓蒙(アルゼンチンワインの知識を広めること)が重要」としつつ、ファッションや食の国際展示会でブースを持つなど、様々な場で一般の層にアピールする予定であることを語った。
アルゼンチンワインの第一の特色は「多様性」。南北3500キロに及ぶ長大な国土を持つこの国では多種多様なワインが生まれ、様々なニーズに応えることができる。これまで各国での促進活動の経験では、そこそこお金のある若い層から人気に火がつくことが多かった。たとえばアメリカでは、15人の人気ブロガーに同時にアルゼンチンワインをテイスティングしてもらうブログイベントを行ったところ、15000件のリツイートがあり、話題を集めたという。日本でも若い人々にアピールし、徐々にアルゼンチンワインを広めていきたいのだそうだ。
個人的には、数年前のアルゼンチン取材で北部サルタの名門ワイナリー、ミシェル・トリノを訪れ、深みがありながらもからりと後味のよいワインの数々にすっかり魅了され、都内のワイン店で見かけることが少ないのを残念に思っていたので、この動きは大歓迎だ。ある輸入業者の話では、同じ南米ということでアルゼンチンワインはチリワインと比べられがちで、そうなるとどうしてもチリの安さに負けてしまうということだったが、アルゼンチンには日本のワイン好きがファンになりそうな銘柄も豊富なので、まずはそこからじわじわと顧客を増やしていけるのではないかと思う。
人が意欲や夢に満ち溢れ、物事をスタートする瞬間は美しい。今回も、大使館という場でいささか緊張をはらみながらも、力強く今後のビジョンを語った協会の3人の姿には、ぜひ応援したいと思わせるものがあった。

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